小説執筆2
□その熱
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俺の真正面に立ち突然「好きだ」と吐き捨てた男は日頃よく不機嫌そうな冷たい目で俺を見るような奴なのでその言葉の意味がまるでわからなかった。
「もっとマシなからかい方もあっただろう」とため息混じりに言ったはいいがその声は微かに震えていて思いもしない自分の動揺に戸惑った。
男は「本気だ」と言いながら俺の逃げ場を塞いだ。
後ろと左には壁、右には男の腕。
前には、熱っぽい碧で真っ直ぐこちらを見つめる目。
拒否という文字はその目に焼き尽くされ姿を消した。
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冷たい目を向けられていたのはスコールじゃなくその隣にいる馴れ馴れしい人たち。