小説執筆2
□遠くて遠い
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いつだったか、リノアが言ってたなぁ。
気付いたら皆が前にいて追い付けなくて怖くなる。
僕だって、思うよ。
きっと、みんな思うよ。
だって、スコールとサイファーは、僕達よりもっと前にいるんだもの。
「追い付けないなぁ」
追い付けるわけがないよ。あの2人は強い。単純に戦闘のセンスとか才能があるとかそういうの以外に、心が強い。
5歳からガーデンに居たんだから、きっともうそういう心が形成されてるんだ。
人を殺す訓練、するもんね。
傭兵として、人を殺す訓練。
「あと、自分を殺す訓練か」
自分の心を、自分で殺す。
僕も同じように訓練を受けていたけど、絶対的に違うと思うのは、きっとスコールやサイファーなら例の魔女暗殺計画を成し遂げていただろうなと思うから。
僕は怯えてしまったけど、もし彼らなら、魔女が誰なのかわかっていたとしても迷いはしなかっただろうな。
それは、良いこと?悪いこと?
「僕にはわからないなぁ」
僕が今、唯一わかることは、そんな難しいことじゃない。
「でもこれでいいんだ」
僕がわかることは、今この時は、みんなが同じ場所にいるってことだけ。
「あ、アービン発見〜ずっと中庭に居たの?」
「あ、セフィだ〜。天気が良いからさぁ。どうしたの?」
「あのね、リノアが来るんだって!だから指揮官室に集合だよー」
「本当?じゃあ急がなきゃねぇ」
大切にしなきゃいけない。僕だけじゃなくて、みんな。
この場所にいる限り、誰がいつ居なくなるかわからないから。
今は、スコールもサイファーも此処にいるから。
「ねぇセフィ、みんなで写真撮りたいね」
「撮りたい撮りたーい!」
僕は、今すごく幸せだから、みんなで幸せになりたいよ。
(また二人が遠くへいってしまわないように、止める術がわからない)
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