小説執筆2

□遠くて遠い
1ページ/1ページ


いつだったか、リノアが言ってたなぁ。

気付いたら皆が前にいて追い付けなくて怖くなる。

僕だって、思うよ。
きっと、みんな思うよ。

だって、スコールとサイファーは、僕達よりもっと前にいるんだもの。

「追い付けないなぁ」

追い付けるわけがないよ。あの2人は強い。単純に戦闘のセンスとか才能があるとかそういうの以外に、心が強い。
5歳からガーデンに居たんだから、きっともうそういう心が形成されてるんだ。

人を殺す訓練、するもんね。
傭兵として、人を殺す訓練。

「あと、自分を殺す訓練か」

自分の心を、自分で殺す。
僕も同じように訓練を受けていたけど、絶対的に違うと思うのは、きっとスコールやサイファーなら例の魔女暗殺計画を成し遂げていただろうなと思うから。
僕は怯えてしまったけど、もし彼らなら、魔女が誰なのかわかっていたとしても迷いはしなかっただろうな。

それは、良いこと?悪いこと?

「僕にはわからないなぁ」

僕が今、唯一わかることは、そんな難しいことじゃない。

「でもこれでいいんだ」


僕がわかることは、今この時は、みんなが同じ場所にいるってことだけ。



「あ、アービン発見〜ずっと中庭に居たの?」
「あ、セフィだ〜。天気が良いからさぁ。どうしたの?」
「あのね、リノアが来るんだって!だから指揮官室に集合だよー」
「本当?じゃあ急がなきゃねぇ」

大切にしなきゃいけない。僕だけじゃなくて、みんな。
この場所にいる限り、誰がいつ居なくなるかわからないから。
今は、スコールもサイファーも此処にいるから。


「ねぇセフィ、みんなで写真撮りたいね」
「撮りたい撮りたーい!」


僕は、今すごく幸せだから、みんなで幸せになりたいよ。



(また二人が遠くへいってしまわないように、止める術がわからない)


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ