小説執筆

□こっち向いて!
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暇だ。
それはもう、暇。
クレスはミントと買い出しという名のデートに行ってるし。
ピンク頭はそんな2人を邪魔しようとついてったし。
すずは相変わらず屋根の上だし。

愛しい愛しい恋人と2人きりだと言うのに旦那は本に夢中だし。

1人取り残された感がビシビシする。
ていうかさ、俺って愛されてないのか。
素晴らしい程に自分の世界に浸りやがって。
何となく幸せそうな顔でたまに欠伸とかしやがって。
やっぱり可愛いなぁ、旦那は。

違う違う。
そうじゃない。
今はそこじゃない。

「なぁ旦那ぁ」
「んー」

ほら生返事。
一応、俺が居ることはわかってるらしいけど。
じゃあ尚更、何で本に夢中なんだって話だって。

「暇なんだけど」
「んん」
「なぁ」
「ん。」

挙げ句の果てには生返事すら短くなってきてるし。
ホントに俺の話聞いてんのか。
悔しい。
悔しいから、

「愛してるぜ旦那!!」

「さっ叫ぶな!」

こっちだって奥の手だ。





*ほらこっち向いた。

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