小説執筆
□その理解し尽くしたと言わんばかりの言動が
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「!!」
「なぁに必死で考え込んでんだ?」
「…わかってて訊くな。趣味が悪いぞ」
ニヤニヤと人を見下してるんだか挑発してるんだかわからない笑みで背後に立つロマンチスト…
いや、ロマンチストというより変態に近いであろうサイファーは、ガンブレードのケースを置いてコートを脱いだ。
「あんたいつの間に」
「お前が突っ立って思考に飛んでたから気付かなかっただけだろ。指揮官サマがそんなじゃ大問題だぜ」
「うるさい。明日まで任務じゃないのか」
「ただのモンスター討伐だ。任務の終了が早まることだって有る」
俺様が行ってやったんだしな、とコートをラックに掛けながらまたニヤリと笑う。
自信過剰な奴だ。
「で?今日が何の日かわかったんだろ?」
「…わかってはいる」
「……お前、その調子じゃ冷蔵庫の中見てねぇな」
「は?」
確かに今日は一度も冷蔵庫を開けてない気がする。
朝食はコーヒーだけだったし、今も部屋に戻ってコーヒーを淹れただけだ。
しかもブラック。
「ま、その方が面白いか。」
「何の話だ」
「待っとけって」
サイファーは俺にソファに座るよう言ってキッチンへ向かった。
なんとなく不本意だったが逆らう意味もわからないので従っておいた。
「ほらよ。」
ソファの前のデスクに置かれたもの。
それは、どう見ても。
「チョコレートケーキ?」
「おう」
持ってくるついでに淹れてきたらしいコーヒーを啜りつつ、俺の隣に足を組んで座った奴は事も無げに答えた。
「去年はシフォンだったし今年はムースにしてみた。」
一瞬買ってきたのかと思ったが、やはり手作りらしい。
何というか…
「器用な奴だな」
「だろ?」
「いつ作った」
「昨日の夕方。任務行く前だな」
「……ちょっと待てあんた1日で任務終わらせてきたのか」
「何だよ今更。大丈夫だよ普通に3日は保つから」
問題はそこじゃない。
と言いたいところだが、呆れて物が言えない。
たまに思うがこいつは本当に人間だろうか。
「いーから食えって、ちょうどコーヒーも有るみたいだし」
「………わかったよ…」