小説執筆
□真意
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「あんた達、最近ホント仲良いわね」
突如として告げられた客観的な確認ともとれる感想に、恐らく私は今、間抜けな顔を晒してるんだろうなと思った。
しかし思慮を巡らせるべきなのはそこではなく。
「……誰が?」
「あんたとチェスターよ、クラース先生」
明確になったターゲット。
久々に「先生」と呼ばれた懐かしさにまたずれそうになるが、私が返すべき言葉はきっとこれだろう。
「…別に、普通だろう」
「そーぉ?明らかに話す時間も一緒にいる時間も長いと思うけど。」
これは、まさか。
「何でそんなに気にするんだ」
「気にしてないわよ、普通にしてても目につくから言ってんの」
気付かれている、のだろうか?
「…普通だと、思ってたんだが」
「そうらしいわね。残念ながら違うけど」
正直なところ。
違って当然だと思う。
公開はしてないが、あいつと私は数週間前から俗に言う“恋人”、なのだから。
全く世の中とは何が起こるかわからないものだと、我ながら思ったりする。
「まぁ…良いことじゃないか、打ち解けるっていうのは」
「そりゃあねー?」
だが、バレるわけにはいかない。
こいつらの事だから否定こそは無いだろうが、良い傾向ではないだろう。多分。
「ねぇクラース、いーこと教えてあげる」
「何だ?」
アーチェがたっぷり間をおいて、笑う。
バレないように、という決意とは裏腹に
嫌な予感に頬が引きつる。
「仲良いって言われただけで。気にし過ぎて、そうか、って会話が終わらない時点でバレバレなのよ。」
アーチェの可憐な満面の笑みが、私を周りの空気共々凍らせるのは容易だった。
―カマかけただけだったのに、わかりやすいんだから
―何…!?
*直後、何も知らず会話に乱入してくるチェスター。