小説執筆
□FONDUE
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「じゃーん!チョコレートフォンデュだよー!」
宿の台所と机を借りて、勝手に夕食後のデザートを広げる。
バレンタインということでチョコレートフォンデュになったらしい。
しばらくクレスと談笑していたチェスターは、アーチェの言葉を聞いた瞬間に一気に怪訝な顔をする。
「誰が作ったんだ?」
「何よその目は。あたしとミントとクラースよ!」
「大丈夫だ。変な物は入れさせてない。」
「チョコレートをつける物は私とクラースさんで用意しましたから…」
料理下手なんて次元におさまらないアーチェが持ってきたせいで不安になったらしいチェスターは、その話を聞いて安心したのか大人しくなった。
密かにクレスも安堵の表情を見せたことを知らないのはアーチェだけである。
「さーさ!食べよ食べよー!」
「これはどういう食べ物なのですか?」
「そうか、すずちゃんは知らないんだね。」
クレスがすずにチョコレートフォンデュの説明をしている間、クラースが各自に取り分けた果物やマシュマロなどを配る。
「これ、すずの分な。」
「ありがとうございます」
「ねーあたしのも早くー」
「お前はさっきつまみ食いしてたろう」
アーチェはクレスに「本命だからね!」なんて言っているが結局はみんな同じチョコレートなので何とも言えない。
各々、配られた順に好きなように食べ始めた頃にようやくクラースが席に座った。
チェスターがしっかり自分の横の席を空けていたので、もちろんそこである。
「これお前のぶんな」
「おつかれさーん」
チェスターは渡された皿を見てん?と小首を傾げた。
そしてその後驚いて、クラースを見て笑う。
「何だ、わかったのか」
「当たり前だろ。なるほどねー」
「チョコレートはどうにも出来ないからな」
さっきからクラースはチェスターを見ない。
しかしチェスターはクラースを見たままニコニコしている。
「さんきゅーな!」
「ああ」
クラースの目元が少し赤いわけは、チェスターの皿に乗ったハート型のマシュマロが知っている。
*会話文にするには長いし小説にするには短くてグダグダ。