もうひとつの世界

□悲しい記憶
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一瞬の出来事だった。
目の前の景色が炎に染まった。
たくさんの人が燃えた。
草も鳥も、なにもかも。
消されていく・・・紅に・・・。炎の向こうに自分がいる・・・。正確には自分の双子の片割れがいる。

「裏切り者!お前があんなことしなければ・・・こんな風には、ならなかったんだ!」ファイの叫び声だ。

裏切り者?あんなこと・・・・?オレは・・何をした・・・?

炎の柱が落ちてくる。
「ファイー!」助けようとしたが、誰かに掴まれた。
挟まれたままファイは・・・
「ユゥイ・・・。オレは許さないから・・・絶対・・・」
柱がもうひとつ落ち、姿はもう 見えなかった。

ガクンッ

「・・ファイー!!」
身体が動かない・・・
叫ぶのがやっとだった・・・
「すまねえな。死ぬなよ、お前は・・・」

誰だ・・・?

最後に見たのは、赤い目の少年だった・・・。
だんだん意識が遠くなる・・遠く・・。

『ねぇ・・・君は知ってる?』
果てが存在しない闇の世界。外見年齢20〜25歳ぐらいの蒼い眼の青年が、立っていた。
『ねぇ・・・君は知ってる?オレが誰なのかを・・・』
まるで目の前に、誰かがいるかのようにしゃべる。とても遠く、とても近い闇の世界。青年の声だけが響く。
『オレは知ってるよ。オレは復讐者。』楽しそうな、ワライ声。
 

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