Short Story
□Honey Lemon
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例えるならそれは
蜂蜜に付けられた檸檬ピールのような
甘くてほろ苦い、そんな気持ち。
初恋は『甘酸っぱい』と言うけれど、俺のそれはそんな生易しいものじゃなかった。
相手が悪かったのだ。
桜の根元で身体を横たえる漆黒に目を奪われたのが始まり。
気付いた時にはもう手遅れで
ただただ奴の背中を視線が勝手に追っていた――
始業ベルの合図と共に駆け込んだ校門。
そこにはやっぱり雲雀が居て、あからさまに遅刻してきた俺を思いきり睨み据えていた。
「獄寺隼人、今月何回目だと思ってるの?良い度胸だね、全く。」
「うっせ、こんくらい見逃してくれたっていいじゃねーか。」
話し掛けられたのが嬉しくて…っても奴は仕事だからなんだろうけど。
少しでも長く話していたいから、思わず反抗的な態度を取ってしまう。
こんなじゃ絶対嫌われてんだろうな…
「だいたい君…ってちょっと、聞いてるの?もういい、今から応接室で反省文ね。」
いつもなら、ボコられて終わり。
なのに今日は反省文?応接室で雲雀と二人って事?
……無理。心臓壊れちまうっての。
「めんどくせー…別に「誰が悪いの?それとも咬み殺されたいの?」」
「オレ、ハンセイブンスゲーカキタイデス。」
「そう、なら着いておいで。書き終わるまで監視しててあげるから」
満足そうに薄く笑った雲雀に、不覚にも見惚れちまって…ぼんやりしてて雲雀に殴られた。