Short Story

□アイシテル
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数日前、突然やってきた10年前の僕の恋人。
今も変わらず可愛い子だけど、10年前はこんなにも小さかったんだね。





「っ〜…いい加減ガキ扱いすんの止めやがれ!」

膝の上で愛でていたら思い切り暴れられた。

きゃんきゃん吠えて仔犬みたい、なんて思ったけどこれ以上ご機嫌ななめになられると面倒だから胸の内に留めておく。

「僕から見たら今の君は充分子供。」

あやすように髪を撫でると顔は不機嫌だけど、少しだけおとなしくなった……こういう所はやっぱり子供だ。

「ねぇ…キス、しよう?」

「やだ。絶対に嫌だ。」

口元を覆い隠してそんなこと言ってもかわいいだけ、なんて君はわかんないんだろうね。

「どうしてだめなの?」

ちょこん、て出来る限りかわいらしく首を傾げて尋ねてみる。いい年した男がこんなことしても気持ち悪いだけなのに、何故か昔から隼人はコレに弱かった。

「う……だって、雲雀が妬く」


ああ、納得。

10年前の僕は君に対して著しく余裕に欠けていたからね。
…まあ、そんな事感じさせたつもりなんてないけど。

でもそんなものは…わざわざキスを中断するのはもったいない、取るに足らない理由。

軽いリップ音を立てて隼人の唇に触れた。
…そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃない、仮にも恋人相手なのに。

「予約、だよ。10年前も今も、君は僕の物だからね」

「当たり前、だろ!俺はお前以外とくっつくつもりねーよ」

キスだけでこんなに顔を赤くして…初だなぁ…大人になったこの子にはないかわいさ。

「それ、10年前の僕にも言ってやってよ」



余裕のなかった子供の僕は君だけが全てだった。
もちろん今も君が最優先だけど。

ねぇ、君の一言で僕は安心できるんだよ?
君の体温で僕は幸せになるんだよ?



好きよりも大好きを

大好きよりも愛してるを

世界中の愛を全部かき集めて君に贈るよ
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