Short Story

□恋情
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すれ違い様、偶然目があった
ただそれだけ。

でも、引き金を引くには充分すぎる「偶然」だった。



「よぉ雲雀、ちょっと面貸せよ」

呼び出した先は屋上。
幸い今日は天気も良くて、時々髪を撫でる穏やかな風が心地よかった。


対峙した黒と銀。

均衡を破ったのは黒――


「こんな所に呼び出して、何の用?」


どうでもいい事だったら咬み殺すよ、なんて…俺の「用事」に見当、着いてるクセに。



ホント嫌な奴。



嫌な奴だけど。強くて、ホントはすげー優しくて、少しだけ淋しがり屋なお前。

そんなお前がどうしようもない程に、愛おしい。


「…俺さ、雲雀の事好きだぜ」

本当は、茹蛸状態の真っ赤で情けないこんな顔なんてコイツにだけは見られたくなかった。

背けてしまえばいいのだけど…
それができなかったのはコイツのせい。


コイツの優し過ぎる笑顔が悪いんだ。



「うん、僕も好きだよ」

あまりにも飄々と言ってのけるから
雲雀の分までまた俺が真っ赤になった。



沸き上がって止まないこの想いを
溢れて零れ落ちる程のこの気持ちを

全て受け止めてくれますか?




fin.
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