Short Story
□大切な…
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屋上に立つ俺の手に握られているのは
純白のカーネーション。
それと、おまけにピンクのカーネーション。
正直、こんな行事に躍らされるなんてごめんだ。
でも、10代目が母親に感謝する大切な日だとおっしゃったから。
残り少ないポケットの中の小銭を叩いた。
あの人はきっと天国。
あの人は俺のせいで死んだから俺は地獄。
多分二度と会えないけど、
もしかしたら俺を恨んでいるかもしれないけど、
俺を産んでくれて、ありがとう。
月並みな、こんな事しか言えねーけど
俺は今、幸せです。
守るべき尊敬するお方がいて
肩を並べて戦う仲間がいて
一緒に生きていきたい大切な奴がいる
真っ白なカーネーションをコンクリートに置いた。
それから、貯水タンクで惰眠を貪っている奴を起こしてピンクのカーネーションを突き付けた。
「あの、よ…ヒバリ、これやる!」
fin.