Short Story

□allodola
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俺の恋人はとてつもなく突発的な行動をとる――


「隼人、どこ行くの?」

「喉渇いたし…キッチン」

「ふぅん、僕を置いて行くの?」

…ずっとこんな調子。


『allodola』




風呂から出て少しゆっくりしようと思った俺は部屋の異常に気付いた。


……恭弥がいる

それ自体が珍しい訳じゃなくて
不本意だけど奴が来てねー方が少ない。

でも、今日はやる事があるとかなんとか言って来てなかったはずだ。



…てか、恭弥元気ない?


リビングのソファーに膝を抱えて俯いて座る姿は、いつもの我が儘気ままなあいつとは掛け離れていた。

ふと、顔を上げた恭弥と目が合う


やっぱ何か変…だよな。


「隼人、こっちおいで?」

いつまでも突っ立ってる俺を一瞥してソファーから足を下ろしたあいつが焦れたように促す。

断る理由もないし

何よりあまりに様子の違う恭弥が気になったから


促されるままに隣に座った。


「違う、隼人ここ。」

ぽんぽん、と恭弥は膝を叩いてる。
つまりそういう事か。


…迷子のガキみたいな顔しやがって。


それでも口調だけは強気でいつも通りなのが恭弥らしい。


普段では考えらんねーくらい素直に恭弥に向かい合いになるように膝に跨がって座った。


それとほぼ同時に上半身を締め付けられた――

「ちょ、恭弥痛ぇよ」

この馬鹿力、苦しいっての…

でもまあ、今日くらいは我慢してやってもいいか

顔を擽るふわふわの黒髪
誘われるように手を伸ばす

指を通してみる
さらさらと指から零れるそれが愛しい


しばらく俺の身体は圧迫されたままで。
恭弥の髪は俺の指に弄ばれていた。
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