Short Story

□Normal Day 〜sideG〜
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今日も今日とて晴れのち晴れ、陽の光が恨めしくなるほどの雲一つない快晴。

そんな日に応接室に閉じこもってちゃもったいねーだろ?

しかも書類の片付け、なんて。


…こんな天気のいい日くらい、のんびりしたっていいじゃねーか。

そんな念いを込めて、革張りのソファーに寝転んで見慣れた真ん丸な頭を睨む

さっきからずっと、書類を睨んだままこっちを見ようともしない。

…勝手にここに押しかけたのは俺だけど、まだ来てから5分と経っていないのだけど


…なんかムカつく。

なぁヒバリ、そんなもん見てないで相手しろよ
こっち向け、馬鹿。

…なんて、念じたところで通じる訳ねーよな。


わかってんだよ、ンなこと。
なんか、もう嫌んなってきた。

決めた、10代目と昼飯ご一緒させていただこう。

ソファーから立ち上がった時、
応接室にやってきて初めてヒバリが顔を上げた。
…一瞬だけ。
でも飛び切りキレイな笑顔で。

…っとに、ずりぃ。
俺が出ていけなくなんのわかってやってやがんだ。

「いつまで間抜け面してるつもり?」

目の前に広がる闇色、ってコイツ…いつの間に近付いたんだよ。
つか、俺ぼんやりしすぎだろ

どっちにしたって、真っ黒なその瞳に今映ってるのは俺だけな訳で

俺ってほだされやすいのか、とか自嘲しながら


大好きなそいつの唇に自分のそれでそっと触れてみた。

直前に見たのは驚いた風に目を見開く馬鹿面。
…てめぇだって間抜け面じゃねーか


しばらくそのままがよかったけど火照る頬がいい加減熱かった

…ちくしょ、やっぱ慣れねぇ事はするもんじゃねーな

頭ン中で一人言ちて顔を離してみた。
俺ってば…今真っ赤なんだろーなぁ…自分から仕掛けたクセに。

思わず俯いていろいろ思考を巡らせてると頭上からクスクスとヒバリの声がした

「隼人って堪え性ないよね」

「うっせー!だいたいお前が仕事ばっかしてるからっ…」


だからなんだってんだよ、俺。
…続きが思い浮かばねーし。

「何、相手にされなくて寂しかった?」
てめ、今考えてんだから話し掛けんな。

…ていうか、俺寂しかった、のか?
なんかわかんねーや。

でもとりあえず、反論しとかないとこいつ調子乗るしな。

「そんなんじゃねー!暇だっただけだっての馬鹿」

「へぇ、図星?…そんな真っ赤な顔で言っても説得力ないよ?」

「こっち見んッ…」


この野郎ッ…せめて最後まで言わせろってんだ、だいたいキスぐらいで……

舌入れてんじゃねー、果てやがれ!
そろそろ本気でやめろ、力はいんなくなってきた…やべ、こける…
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