novel
□王様の耳はくまのみみ
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「………陛下……その…、頭に生えているのは……」
「?生えてるって……」
コンラッドに言われて、自分の頭を触り…愕然とした。
頭の左右から、何か丸いものが生えている。
しかも、何かこう…フワっというか…モサっというか……
「……クマハチ耳…ですか」
コンラッドが笑いをかみ殺しながら言った。
冗談じゃない!
慌てて耳を隠しつつ、そっと廊下へ出てみたところで……
「……………!?」
同じように耳を押さえてそろそろと廊下を歩く三男を発見。
その後、廊下でお互いの頭を見て騒ぎあっていたおれたちは、
遠くから無言で手招きする長男に連れられ、彼の私室へ入り、
今に至っているわけで……。
「んー…。特に、コレといって思い当たる事ないんだけどなぁ……」
「ぼくもだ」
大きくため息をついて、ヴォルフががっくりとうなだれる。
しかし、このクマハチ耳。
ヴォルフに関してはよく似合っていると思うんだけど……
そんなことを口にしたら、さらに落ち込むだろうか。
「しかし、普通何の理由もなく、こんなものが生えるわけがない」
イライラと、グウェンダルがクマハチ帽子に付いている紐を引っ張った。
『マイドイングウェンダル』のタグが付いたクマハチ帽で
必死に耳を隠そうとしているようだが……
クマハチ耳をクマハチ帽子で隠しても、はっきりいって意味がない。
寧ろ、ダブル耳といった感じでより哀れ度が増している。
ついつい笑いがこみ上げて、気づかれないように視線をそらした先で……
曖昧な笑みを浮かべる次男坊と視線がぶつかった。
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