novel
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「よーし。いい感じに積もったな」
開け放った窓から広がる銀の世界が、朝の光を反射した。
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「という訳で、今から雪だるまを作りたいと思います!」
「ゆき……だるま?」
低血圧美少年が瞼を擦りながらたずねる。
朝トレーニング帰りのおれやコンラッドと違い、ヴォルフはまだおねむらしい。
欠伸をかみ殺した目には涙がにじんでいる。
「で、その雪……だるま?…とは何のことだ?……まさか、男じゃないだろうな!?」
「え!?」
一転、ぐっと身を乗り出したヴォルフにたじろいで、思わず一歩後退した。
今にも『尻軽―』とか何とか罵声をかけられそうだが、すぐに答えも浮かばない。
雪だるまの性別なんて、考えた事ないっつーの。
「…男なんじゃないんですか?スノウマンって言うくらいだし」
唯一地球経験のあるコンラッドが横から援護したが、あまり救いになっていない。
寧ろ火に油。男だと聞いたヴォルフが、ますます不機嫌そうにこっちを見ている。
「まっ…まあ、雪だるまの性別は置いといてー。それよりも、昼までに急いで何体か作りたいんだ!」
「どうしてだ?」
ヴォルフはまだ機嫌悪そうにしているが、この際だから何でも勘弁して欲しい。
だって……
「娘の喜ぶ顔が見たくない父親なんていないだろう?」
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