東方肝試行

□EX第四話
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「ったく!何が愛よ!
そのせいであたし達、いや、周囲の人全員が迷惑してんのよ!
それなのに当の本人はその迷惑も知らない!
いいかしら、自分の善意を勝手に押し付けるな!!
あんたはそれで正しいと思っても、周囲の人達がそのことをほめると思ったら大間違いよ!」

霊夢は愛子に説教をする。
・・・が、どうも愛子の様子がおかしいようだ。

「?こいつ、何か様子がおかしいわよ?」
「はあ?そんなこと言われたって・・・

「ひどいですわ・・・
博麗の巫女ならわかってくださると思ったのに・・・」
「むしろ、わかりたくもないわね、あんたのやり方は」
「絶望した・・・
絶望したわ!!
愛を広めることがそんなに悪いの?
愛を広めることがおかしいの!?」

急に愛子が激情し始めた。
その様子に、霊夢たちは少しの間だけひるんだ。

「ふんっ!愛を広められるんだったら人間なんてどうでもいいのよ!
だって私のしていることは正しいもの!
それで迷惑を被ったり死んだりしても自業自得よ!
正しいことをしている私の邪魔をしたんですから!」

先ほどの様子とは違って、まがまがしい雰囲気を放っている。

「ったく、ようやく化けの皮をはがしたようね・・・」
「成る程・・・こいつ、堕天使ね」
「え?何でわかったのよ?」
「あら、霊夢は気がつかなかったかしら?
こいつには羽が生えているわよ」
「そんなことぐらいわかってるわよ」
「その羽は、天使のものに近いけど・・・黒くなっているし、ボロボロよ。
それに、堕天使とは独善的な性格なのよ!
間違いない!」
「あんた・・・本当はよくわかってないでしょ」

いちおう、図星である。

「それに・・・貴方達が今の私に何ができるの?
こちらにはコレがあることを忘れてないかしら?」

愛子の背後に、巨大な影が見える。
―アリスの「ゴリアテ人形」だった。

「貴方が犯人か!
でも・・・貴方こそ忘れてない?
それは私の人形―ご主人様の言うことを一番に聞くのよ」

余裕そうな様子を見せたアリスだったが―
一方の愛子も不適な笑みを浮かべる。

「っふっふふふふふ・・・
何を言っているの?
今のご主人は貴方ではない。
この私なのよ・・・」

その言葉に反応してか、ゴリアテ人形が霊夢達―無論、アリスも含めてだ―に襲い掛かってきた。

「!嘘よ・・・
何でわたしを襲ってくるのよ!」
「だから言ったでしょう?
この子の今のご主人は私なのよ。
今は全て私の言うことしか聞かないのよ・・・!」

アリスは愕然とした。
人形は基本的に全て、自分の言うことを聞くようにしている。
自分にしか操れないはずだ。
なのに、何故・・・!
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