東方肝試行

□EX第四話
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「あら、もしかして私のことをお探しですの?」

霊夢たちの背後から、突如声が聞こえた。

「誰よ?もしかして今回の黒幕?」

霊夢がそう後ろを振り向くと、

そこには、桃色の長髪をもつ少女がいた。
どうやら、漆黒の羽も生えているようだ。

「あら、名乗りもしないでご失礼いたしましたわ。
私の名は「裏肝 愛子」と申しますわ」

そう自己紹介をして、愛子は優雅にお辞儀をする。
まるで、何処かの貴族のような出で立ちである。

「自己紹介はどうでもいいから、今回の黒幕はあんたなの?
さっきも聞いたでしょ」
「あら、黒幕とは何のことでしょう?」

霊夢の問いかけに対し、愛子は首をかしげた―まるで、異変のことを知らないかのように。

「とぼけないでよ、ここら辺の幽霊を狂わせたのはあんたでしょう?」
「とぼけてなどおりませんわ。
それに、そんなことで黒幕扱いなんてひどいです・・・」
「じゃ、あんたが黒幕ね」

間違いない。
こいつは幽霊を混乱させたりとか人形を盗んだりとかして、異変を起こしたんだわ。
霊夢は、そう確信した。

「私がやっていることは、異変にもならないことですわ。
私は、成仏できずにいる可愛そうな、可愛そうな幽霊に愛を教えただけに過ぎないのです」
「はあ?」

愛子がとんちんかんなことを話すので、今度は霊夢たちが首をかしげる。

「そして愛を知った幽霊達はその喜びのあまり、狂ったように踊りだす。
あれは愛を知ることができてうれしくなった幽霊たちが、ただ騒がしく喜んでいるだけですの」
「それが、幽霊達が狂ったように暴走してんのよ。
黒幕なんだから何とかしてよ」

霊夢には、愛子の言っていることがまったく通じていないようであり、その様子に愛子が悲しそうな顔をする。

「そんな、愛を教えることがそんなに悪いことなんですの?
愛を知るということはすばらしいことなのですわ」
「ったく、私たちの話をよく聞いていないようね・・・
いっておくけどね」

霊夢が一息すって、こう言い放つ。

「余計なことをするんじゃないっ!」


霊夢の怒鳴り声が周囲に響き渡った。
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