図書館戦争短編小説
□桜 小毬編
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「僕、貴女のことが好きです!!付き合ってください!!」
―ああ、やっぱり。
小牧は、桜の近くに植えてある木に隠れながら、聞いていた。そして、小牧の予想は的中だった。
―告白だ。
小牧は金槌かなんかで、頭をぶん殴られたような感じがした。そんな気分と同時に毬江の返事が気になった。陰からこっそり覗くと、毬江は困ったようにオロオロしていた。
―悩んでいる?やっぱりそうだよね。こんなおじさんよりもっと若い人のほうがいいもんね。
「あの・・・すみません。付き合えません」
―え?
毬江の発言に小牧は驚いた。毬江は小牧が予想していた答えでは無く、まったく逆の―強いて言うなら小牧が期待していた言葉を言ったのだ。
「あの・・・なんで・・・ですか」
男は食い下がった。諦めきれないのだろう。すでに泣きそうになってる男に毬江は優しく答えた。
「私、昔から好きな人がいるんです。この前やっとその人と付き合えるようになりました。私、出来ることならその人とずっと一緒にいたい。だから・・・貴方とは付き合えません」
―ああ、なんかものすごい嬉しくなってきた。男の子には悪いけど。
男はその話しを聞くと、「わかりました。その人とお幸せに」と、答えて正門のほうに走っていった。
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