図書館戦争長編小説
□エピローグ〜強制休暇
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―昨日〜某千葉県内駐屯地―
それは昨日の出来事だった。
その日天気は良好の土曜日の午後に事件(?)は起きた。
「おう、鉄心。ちょっといいか?」
格闘技場。鉄心は休日になると、格闘技場で一人稽古をしたり組手(一人対一人の稽古)をしたりするのが休日の過ごし方だ。
「あ、これは空挺団長。どうしましたか?」
鉄心は声をかけた男に敬礼をした。180cmと背が高く、もう42代になるのにまだ女性隊員からの人気が高い鉄心の上司である、空挺団・団長大野正昭(おおの・まさあき)一等陸佐だ。
「ん、まあ座れ」
「?・・・はい」
鉄心は不思議に思った。いつもなら、すぐに道着に着替えて鉄心と一緒に格闘訓練するのに今日は違った。鉄心は不思議におもいながらも、大野の前に座った。そして、大野は長いため息をついた。そして、しゃべり出した。
「おまえ、休暇最後にとったのいつだ?」
「・・・は?」
鉄心は拍子抜けした。もっと大事な話しだろうと思ったら休暇の話だ。なぜだ?鉄心はしばらく考え込んだ。そして、ゆっくり頭を上げ、「今年の始めごろだと思います」と、答えると、大野は目を見開いた。
「おま・・・それじゃあ、全然外行ってないのか!?」
「はい・・・それがなにか?」
鉄心はケロッ、とした顔で大野をみた。大野は眉間にしわを寄せてそこを親指と人差し指で押さえていた。
「しかし、どうしたんですか?いきなり」
鉄心は今だ不思議に思っていた。なんでまたこんなことを聞いてきたのかと。大野は溜息をしながらしゃべり出した。
「いやな、隊舎で休んでいたらな、お前がまるっきり休んでいないという話しを聞いてな。本当かどうか確かめにきたんだ・・・。まさか本当だったとわ・・・」
「はあ・・・さいですか(幸田辺りかな?あとでシバこ)」
そう、鉄心はまるっきり休んでない。おそらくそれに関しては右に出るものはいない。本人はしっかり休日を取ってるつもりでも、周りからしたらまるっきり休んでないように見えるのだ。そして、大野はその整った顔を歪めながら、
「まあ、お前がなんで休みを取らないかの理由ぐらい見当はつく。だが、月に一、二度外出してもいいんじゃないか?」
「しかし・・・」
鉄心は不満タラタラといった感じだ。鉄心は休んでいるつもりなので、このように言われるのは不本意なのだろう。しかし、大野は間髪いれず立ち上がり、声を荒げた。
「河井一等陸曹!!!!!!」
「レンジャー!!!!!!」
鉄心も直に立ち上がった。そして返事は、レンジャー課程中、隊員にただ一言許された言葉が「レンジャー」だ。鉄心は教育期間中の監督が大野だったこともあり、たまにその癖で「レンジャー」と返事をしてしまうのだ。そして大野は、
「明日、一日休暇を取り。外の空気を楽しんで来い!!!!!」
「・・・・・」
「返事!!!!!」
「レンジャー!!!!!!」
鉄心は限りなく大声で返事をした。大野は「よし」とうなづくなり、道場の更衣室にいった。鉄心はしぶしぶという感じだが、サンドバックに近づき、
「・・・いい加減」
左足を引くなり気を溜めた鉄心は、しばらく目をつむった。そして数秒が過ぎるなり目を裂けんばかりに開き、
「でてこんかぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!!!!!!」
「ぶへ!?」
鉄心はサンドバックを正拳突きした。サンドバックは撃たれた後方に吹っ飛び、後ろに隠れていた人間が吹き飛んだ。