幕末長編小説 時を越えた自衛官
□居合い対突き
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―斉藤・沖田部屋―
斎藤は襖に入れてあった、まえ自分が使っていた無銘刀(名前が刻まれていない刀)を取り出した。斎藤はその刀を手に持ちながらさっきの男のことを思い出した。
・・・なぜ、怒鳴ったんだ?
今まで怒鳴ったことなど一度もなかった。どうせ怒鳴っても変わりはない、怒鳴ったところで変わらない。そう思っていたからだ。
しかし・・・なぜだ・・・?
あの男・・・鉄蔵の発言でか?
『斬れるものなら斬ってみろ!!』
いや・・・違うな。
頭を横に振った。以前にもなんどかそんなことを言われたが、何にも思わなかった。
では、なぜ・・・?
斎藤は悩んだ。しかし答えが出てこない。
なら・・・。
斎藤は刀を手に立ち上がった。
この腕と刀で答えをだす!!
武士は刀。この時代の侍はそれで答えを出していた。そう心に決めた斎藤は部屋を出た。