図書館戦争長編小説

□第一話〜強烈な出会い。
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―武蔵野第一図書館―



「・・・でかい」



「なにがですか?」



「この図書館の広さがだよ!!」



鉄心は図書館の庭で怒鳴りたてた。そして、なぜか知らないが淡々と、



「俺が中坊だった頃の図書館といったらお前。この庭分もなかったぞ!?なんでこんなに広いねん!!」



なぜか最後だけ関西弁になったかはさておき。そんな風に驚いている鉄心を尻目に、幸田はなにやら懐から出したものを顔に塗りたくっている。



「・・・ナにやってんだ。お前」



「何って・・・化粧ですよ」



幸田はものの数分で化粧を済ませた。薄化粧ではあるが、もともと女顔の幸田にはちょうどいい具合だろ。ご丁寧に口紅までしている。



「『化粧ですよ』。じゃあ、ねえよ!!!!化粧は女がするもんだろうが!!」



「けど〜、鉄心さんだって〜。たまに化粧しているじゃないですか〜」



いったい、どこから出しているかわからないぶりっ子声に身震いしたが、鉄心は負けじと言い返した。



「ありゃ、化粧じゃない。迷彩を施しているだけだ!!!」



おそらく、なんかのミリタリー系雑誌を見たことがある人は鉄心の言っているのがわかるだろう。つまり、顔にも迷彩を施してわからなくさせるためなのだ。



「も〜、ああいえばこういう人なんだから〜」



幸田はまた、ぶりっ子声を出していた。おそらく周りから見たらものすっごい綺麗な女があまり冴えない男と一緒に居る、と思うだろうが鉄心にしては弟分である男が絡んでいるにしかない(しかも、だいぶ迷惑)。



「・・・まあ、いい。中に入るぞ」



「は〜い」



幸田は鉄心の腕に巻きつきながら返事をした。





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