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□凸凹
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私たちは「双子」として扱われることが多い。生まれたのも一緒なら、することいつも一緒だった。


だから、「同じ」なのは当たり前で、肝要なのは何が「違う」かだった。









「おいリンー、俺のバナナプリン知らね?」
レンが冷蔵庫の前でごそごそやっていたかと思うと、居間のテーブルで漫画を読んでいた私に話題が飛んできた。

「あ、ごめん、食べちった」
今日はレン単体の仕事があったため、彼は朝早くから家を留守にしていた。(だからさびしかったのだ)



「えー!疲れた仕事帰りに、糖分を補給しようと思ったのに…」

「めんごめんご」



(ここで、私だったら許さない。「こらー!」とかいってすねて怒る。)



「まったくリンは」


だけどレンは、


「しょうがないなぁ。」



許してくれちゃうのだ。









「ねー。レンってさ、何で怒んないの?」

「は?」
仕方なく座ってヨーグルトを食べていたレンに、リンは後ろからもたれかかった。肩に肘が置かれ、レンはリンに抱きつかれる形になる。

「私だったら絶対怒ってさー、レンが買いに走ることもあるじゃん」

レンは苦い顔をした。以前こだわり卵のとろけるプリンを買いに走ったことでも思い出したのかもしれない。

「それは勘弁してほしいんだけどねー。」



「リンがわがままいうのが仕事だとしたら、俺はわがままきくのが仕事なの。だからぴったりくるんだろ」




どこか凸凹で。その凹凸がぴったり合うんだろう。



それが、たくさん同じで少し違う、凸凹な私たちの形。
 

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