tactics
□★Sleeping Beauty★
2ページ/4ページ
「…ただいま」
仕事を終わらせ帰宅した春華は、静かに玄関のドアを閉め鍵を掛ける。
いつもなら勘太郎が「おかえり〜」と抱きついてくるはずだが今日はそれがない。まぁ、それは当然と言えば当然のことで…
『すぐ帰ってくる』
そう言った春華の心とは裏腹に、沢山の仕事を次から次に持ってこられ、春華の帰宅は日付が変わるくらいの時間になってしまっていた。
「起きてるわけ、ないか」
独り言のように呟きリビングの扉を開ける。
するとそこには待ち疲れてしまったのか、ソファーの上で眠る勘太郎の姿があった。
春華が近付き顔を寄せると泣いたのだろう、微かに涙の跡があった。
(やっぱ連絡しなかったのはまずかったか…)
寂しがり屋の勘太郎だ。きっと帰りが遅い春華に不安を感じたのだろう。
春華は連絡を取らなかったことを後悔した。
「泣かせてしまったな」
そう呟き勘太郎の頬に軽く手を添え、スヤスヤと寝息をたてる柔らかな唇に触れるだけの口付けを落とす。
「‥ん‥」
よほど熟睡しているのか勘太郎は起きない。
「可愛い」
そんな勘太郎に愛しさが込み上げ、春華は先程とは比べものにならないくらい深い口付けを勘太郎に与える。