遙か

□穏やかな日
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日々起こる戦など忘れてしまいそうなそんな穏やかな日。なにをするわけでもなく、廊下に座り込みぼんやりと庭を見ていた弁慶の元に九郎がやってきた。それに気付いた弁慶が座ったまま声を掛ける。

「九郎、君もここに座ってのんびりと庭でも見ませんか?少しでも疲れがとれますよ」

ここ、と弁慶は自分の隣を手で示した。
すると何を思ったのか九郎は隣には座らず「疲れた」と一言だけ言って、自分の頭を弁慶の膝に乗せた。

「どうしたんですか?君がこんなことをするなんて珍しいですね」

くすくすと笑い、弁慶は九郎の長く触り心地の良い髪に触れながらその顔を覗き込む。
するとそれに気付いた九郎は自分を覗き込む弁慶に恥ずかしさを感じ顔を背けた。

「別にいいだろ、たまには。俺だって疲れるんだ‥それに」

「それに?」

髪を撫でていた手を止め、弁慶は首を傾げる。
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