遙か

□暖かな日
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ポカポカと暖かなある日の午後。
ここ藤姫の邸にのんびりと日向ぼっこをする二人の姿があった。



「久しぶりに暖かくなりましたねー」
「あぁ、ホントだな」

ぼんやりと庭を見つめながら話し掛けてきた詩紋に天真は答えた。

いつもの慌ただしい時間とは違うのんびりとした平和な時間。そしてなにより、誰にも邪魔をされずに可愛い恋人と過ごせるこんな時間が天真は好きだった。


「ふわぁ」

ふと聞こえた気の抜けた声に隣を見ると、詩紋が手を口元にあて可愛らしい欠伸をしている。

「眠いのか?」

天真が笑いながら聞くと、詩紋は欠伸の時に出た涙をごしごしと袖で拭いながら「眠たくないです」と答えた。
久しぶりの二人きりの時間を眠ってしまってはもったいないと思ったのだろう。
本当は眠たいはずなのに眠くないと言い張る。

しかしどんなに眠たくないと言い張っても睡魔に勝てるはずはない。
その証拠に先程から詩紋は何度も欠伸をしたり、しきりに目元を擦っている。

そんな詩紋の姿に愛しさが込み上げ、知らず知らずのうちに天真から笑みが零れた。
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