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□降伏の証
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「はっ…かん…っん!」


もうどのくらいの時間が過ぎたのか。
それも分からなくなるくらい勘太郎との口づけに夢中になっていた春華だが、もうそろそろヨーコが帰宅する時間だ。
ここらでキリをつけなければと春華は勘太郎から体を離す。


「っ、やぁー…」


だが勘太郎は離れたがらず、首に腕をまわして再度くちびるを触れ合わせてきた。


「んぅ…はる…かぁ」


強請るような声色に春華の心は揺れるがここで負けてはいけない。
(鬼喰い天狗だけど)心を鬼にしてその体を離そうと華奢な両腕をぎゅっと掴んだ……が。


「ね…お願い。もっとちょうだい…」


春華のココ…。


そう言いながら白くて細い指でくちびるをゆっくりとなぞり、そのうえペロリと軽く舌で誘うように舐められれば、春華の自制など砂糖細工のようなモノだ。

ソレが一気に崩れ落ちる音を心の中で聞きながら、気付いたときには目の前の華奢で儚げなその体を畳の上に押し倒し、妖艶に微笑む愛しい主人に口づけを落としていた。


それはまるで降伏の証のような…。



−終−

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