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□恋人たちの一日
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●春勘『☆bitter☆』



「はぁ、どうしよう‥」

僕、一ノ宮勘太郎は目の前の悲惨な状況に深い溜め息を吐いた。

今日は2/14。僕は手作りチョコを春華に渡したくて朝からずっと頑張ってたんだけど…

「‥チョコ作りって難しいんだなぁ…」

ヨーコちゃんに教えてもらいながらやるはずだったチョコ作りだけど、ヨーコちゃんにバイトが入っちゃって結局一人に。
仕方なく一人でやってたんだけどやっぱりそう簡単にはいかず、僕の目の前には大量の失敗作たちが並んでいた。

「こんなことなら簡単なのにするんだった‥」

春華の喜ぶ顔が見たくて少し難しいチョコに挑戦した結果がこれ。
すでに残っているチョコはなく、買いに行くお金もなかった。

「‥あ〜ぁ、一生懸命頑張ったんだけどなぁ‥」

言葉に出すと僕の目から止めることのできないたくさんの涙が零れてくる。

「ぅ、ひっく…こんな‥じゃ…ふぇ…渡せないよぉ」

ただ春華に「おいしい」って言ってほしかっただけ…
ただ春華に僕の「好き」を伝えたかっただけなのに…

僕は零れる涙を拭いながらその場に座り込むことしかできなかった。
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