ぶんおきば

□世界で一番愛してる!
1ページ/3ページ



うちはサスケ。
彼は孤独に生きるイケメン。

兄イタチを倒さんと、日々がんばっている努力家でもある。


しかし。
そんなイケメンにも欠点はある。


そう、例えば…。

「ナルナルナルナル…ナルナル……」

思い人への愛しさが募りすぎると、廃人になる…とか。




世界で一番愛してる!






「んあーっ!あっつっいっ!」
「水月、うるせーんだよ!サスケと重吾を見てみろ。涼しそうな顔してんだろーが!お前も涼しそうな顔をする努力をしろっ」
「何で二人ともそんな顔できるんだよ…。も…無理。蒸発するぅ」
「うーざーいっつてんだろ!」
「げふぅっ」




なんだか太陽がギラギラと元気に猛威を奮う最中。
“蛇”一行は今日も元気に、あてもなくイタチを探して歩いていた。


しかし、暑い。
暑さに弱い水月は、道端に干からびたミミズを見つける度に他人事じゃない気がしていた。

「だってボク、何気に水なんだよー?蒸発しちゃってもいいの!?」
「勝手に煮干しにでもなってろ!」

ぎゃいぎゃいと言い争う水月と香燐。

しかし忘れてはいないだろうか。
我らがサスケ様の腰周りを。

上半身はやけに涼しそうに感じるが、彼の腰周りはやけに厳重だ。
実はとてつもなく蒸れやすいに違いない。
(もう一度コミックスを確認してみよう!)


「香燐、水月」

「なんだあ!」
「何だよ、重吾」

たたっと二人に近づいてきた重吾。
彼は困り果てたように眉が下がっていた。


「サスケが倒れた」

「はあ?」


行ってみると、見事にサスケが倒れていた。
そりゃもう、ぱたりと。


「ねぇ、サスケみたいな涼しい顔ってどんな顔?」

口のはしをひくりとさせながら、水月が香燐に言う。
その香燐はというと、行き倒れ状態のサスケを見て顔面蒼白だった。


「…あ…ああぁ…。きゃぁああっ!
 サスケぇっ死ぬなぁ!ウチが今、人工呼吸してやるからなっっ」

一瞬混乱した香燐だったが、次の瞬間にはすかさず好きな相手のKissGETを目論んだ。


しかしその前に水月が水遁でサスケを復活させた。


「水遁・めざましみずー」
「ぷあっ」

(ごめん、技名テキトー)
水を顔面に受けたサスケは少し覚醒した。

「ああっ!なっ何しやがる水月!」
「ぐぇえ!ちょ…っ香燐…!」
「くたばれっ」

せっかくのチャンスが!
と、水月の首を締め上げる香燐。
水月は何がダメだったんだ!?とオロオロしていた。


「なぁ、二人とも」
「んだよっ!」

またそこに割り込んできた重吾に香燐がキレるが、重吾はあんまり気にしていないようだ。


「サスケが何か言ってる」
「えぇ?」


見てみると、うつ伏せに倒れ、辛うじて薄目を開けた状態のサスケの口から何かが聞こえてきた。

「ナルナルナルナル…」



「って!うえっ何さこれ!気持ち悪いなぁ」
思わず一瞬ここに置いていってやろうかと考えた水月だが、他の二人が許すはずがないよなぁとため息ひとつ。



「ナル…ナルナルナル……」

暑さに倒れ、愛に飢え…。
サスケは考えていた。


ああ…どうして俺はこんなところで倒れているんだ。

正直イタチがどこにいるかなんて知ったこっちゃねぇし…。
…つーか、なんで俺はイタチを探してんだっけ?



ジリジリと照る陽射しの中、思考回路はショート寸前なサスケ。



しかし、表情は至って無表情だ。
なのでサスケの沸いた頭など知らない三人はどうしたもんかと困り果てていた。


「とりあえず日陰探して休もう」
「えー誰がサスケを運ぶのさ」
「お前と重吾に決まってるだろ!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ