ぶんおきば
□仰げばそこに
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届かない と
握りしめた拳に
ゆるゆる と
流れ出る滴は
何を伝えたがっていた?
仰げばそこに
湿気た空気は、一時だって俺の気分を晴らそうとはしない。
地下の空気。
大蛇丸がいるだけで空気が淀んでいく気がするのに、それが地下の隠れ家となると最悪だ。
ここに好んで出入りしている奴の気が知れない。
かく言う俺も、端から見れば好んで出入りしている部類に入るのかもしれないが。
それも仕方ないことだと我ながらに思う。
木の葉を出てから半年。
正直、あの空の下に出る勇気はまだ持てていない。
俺にとって、地上にある全ては俺を責めるものでしかないからだ。
あのとき腕を負傷したのを良いことに、俺は与えられた部屋で休んでいた。
「サスケ君、入っていいかい?」
「…ああ」