黒子本、まとめ
□巻島とお付き合い
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トリップじゃなくて転生もので誰かの何かだったらin弱ペダ
※もし(ここ六倍角)巻島さんとくっついたら
※巻島さんが女々しい(被害者:東堂)
可愛い幼馴染みと大事な好敵手に恵まれ、日々に憂いはなく、ペダルを踏み込む足にも力が入る。
俺は幸せ者である、と東堂は常々思っている。
そんな彼が自分の癒しを引き合わせてみたいと考えるのは当然の流れで、俺の天使が並んでるところを愛でたい!という山神得以外の何者でもなかった。
そして、プロデュースバイ東堂の小さな出会いをきっかけに好敵手が幼馴染みに少しずつ惹かれ、恋心を抱いたことをいち早く察知したのはある意味必然である。
東堂は二人を目遭わせた者の責任も伴ってか、嬉々として自らキューピッド役を買って出て日々試行錯誤を繰り返し、ほんとうううに苦労して――晴れてふたりは恋人同士となった。
余談だがその夜東堂はひとりで赤飯を炊いた。
『澪が可愛くて毎日が楽しいショォ!!』
滅多にメールをしない巻島からそんな魂のシャウトが届いた時はふむ恋は人を変えるのだな、と若干遠目にはなったもののお膳立てした者として嬉しくないワケはなく、もちろん即座に「よかったな巻ちゃん!」と返事をした。
さて、そこまでは良かったのだが。
『東堂ォ!お前澪にどんな教育してきたッショ!?』
「ちょっと待て巻ちゃん!俺は澪のご両親じゃないぞ!」
電話口から響く声に耳がキンキンした。
東堂は知らなかった。
恋に恋した巻島が――こんなに面倒くさいなんて。
晴れて恋人同士になったとはいえ、澪は箱学生で巻島は総北生。物理的な距離が二人の間には存在しており、連絡手段はもっぱらメールや電話に限られる。
しかもお互いロードの練習やマネージャーの業務があり、ごくごくたまにデートくらいはしているものの、普通の恋人が過ごす時間と比べてしまえばまさに天と地の差があった。
それら諸々の差を埋めるにはお互いの協力が不可欠であり、その辺で性格で出るのだが……。
自室で充電器につけたまま、東堂は携帯を耳に当てたまま首を傾げた。
「とりあえず落ち着け巻ちゃん。どうしたというのだ?」
なぜか巻島は、澪に関する愚痴や相談をまるっと東堂にぶつけてくるのだった。
最近など、自分からかけるばかりだった電話が頻度で言うなら殆ど同じくらいになってしまった。
『どうもこうもあるか!』
通話越しに聞こえる巻島の声は若干の焦燥が混じっており、東堂はちょっと焦る。
まさかケンカか?それとも……。
最悪の想像にいきかけた東堂だが、次の巻島の言葉で脱力した。
『澪は、なんであんなに欲がないショ』
そしてため息。
「は?」
思わず真顔で聞き返してしまった東堂に罪はない。
巻島は呪詛のように呟き続ける。
『メールもあんまり来ねーし、電話なんてもっとねェし……デートもどっか出かけたいとか言わねェし』
「あー……」
長年の付き合いで澪の性格を熟知している東堂は、巻島の言いたいことが段々分かってきた。
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