プチ連載

□Overture puro amore〜純愛序曲〜
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誰にも気付かない様にしていたのに…。よりにもよって、一番知られたくない人に知られてしまった。しかも、誰にも見られたくなかった場面を…。

(どうしよう…)

バレる訳には行かない。
それに、骸はファミリーではあるがボスの命を狙っている不届きモノ。こいつは、好きじゃない。そんな奴に見付かって、どう言い訳したら…。

「あんな男のどこがいいのだか…。僕には解りかねますね」

「あんたが、ボスの何を知ってるのよ!!あんな男なんて言わないで!!」

こいつが嫌い。
いつも、ボスを見下している態度の骸が大嫌い。
どうしてこんな奴をファミリーにいれたの…?

幾ら強いからって…。
リボーンの推薦だからって…。


ボス…優し過ぎるよ…。


数年前、街のギャングにやられて道に倒れていた時、優しい手を差し伸べてくれた。どこの馬の骨とも知らないのを、拾って傍に置いてくれた。
ボスの優しさは、誰よりも解っているつもりでいる。だから、ボスの命を狙っているこんな奴に、ボスが見下されるのが許せない。

「ま、上着着て喜んでいる貴女に、言われたくありませんけどね」

「こ、これは…」

この状況で、言い訳なんて思い付かない。だって、弁解の仕様がないんだもん。
動揺を顕にしながら、ゆっくりと後ずさる。

ばれたくない。
ずっと隠してきたんだ。
今更ばれて、傍にいられなくなるなんて絶対に嫌だ!!

「沢田綱吉に、言ってしまってもいいのですが…」

「やめて!!お願い…」

縋り付くように、骸に懇願する。

どうして…。
どうしてこいつなの…?

他に人達なら優しいから、こんなに焦らなくても済んだはず。


なのに…っ!
どうしてこんな奴に…っ!


悔しくて堪らない。
こんなに嫌いな奴に、頭を下げなくてはならない事が、悔しくて堪らない。
だけど、バラされる訳には絶対に行かない。
ボスの傍にいられなくなるくらいなら、大嫌いな骸に頭を下げる方がマシ。

ニヤリと笑うと、骸が近付いてきた。それが怖くて、本能的に危機を察知して、また数歩後退る。

「なら、取引しましょうか」

「取り引き…?」

次第に近付いてくる骸。
逃げるように後退っていたら、壁に行き着いてしまった。
すぐ後ろの壁に手を突かれ、逃げられない状況に追い込まれた。逃げられなくて、怪しい笑みを浮かべる骸を見上げる。何を言われるのか怖くて、身を強ばらせる。

「僕の玩具になってもらいましょうか」

「はっ?玩具って…きゃっ!」

笑顔でとんでもない事を告げられた次の瞬間、骸に片手で軽々と急に抱き上げられた。
いきなりの事に頭が着いて行かず、抵抗すらもする暇がなかった。されるがままに、思い切りボスの机に落とされた。

「いたっ!」

落とされた次の瞬間、乱暴に押し倒された。
もう、何が何だか解らなくて、思考が着いていかない。とにかく今は、妖しい笑みを浮かべる骸が怖くて、体を震わせる。

「な、何…?ちょっ!」

急に体が、自分の意志では動かなくなってしまった。
その隙に、骸は自分のネクタイを解き、私の腕を縛り上げた。すると体が動くようになり、必死に抵抗を始める。

「離してよ!!」

「これは取引ですよ」

「玩具ってまさか…」

骸の取引の意味に気付き、恐怖を覚え始めた。
非情にも、骸の冷たい声が部屋に響き渡る。

「えぇ」

片方の手袋を口に銜えて取ると、骸はこれからを楽しむように妖しく笑う。

「性玩具としてですよ」

「い、いやぁ!」

聞きたくなかった言葉に、恐怖が一気に爆発した。
何とか逃れようと暴れるが、すぐに骸の術で動けなくされてしまう。

大嫌いな奴に抱かれたくない。
しかも、ボスの机で。ボスの上着を着たままで。


こんな最低な奴に…。
無理矢理組み敷かれるなんて…。

「暴れても無駄ですよ」

「いやっ…」

シャツと下着を一緒に捲られて、胸を顕にされた。
怖くて怖くてどうしようもなくて、泣きじゃくるしかない。
骸を、煽るだけとも知らずに。

「案外大きいんですね」

「ひゃっ!」

突起を弾かれて、電流が背中を走り抜けた。
初めての感覚に、どうしていいのか解らずに、ただ抵抗する。

「何で…こんな事…」

「クフフ。簡単な取引じゃ、面白くないからですよ」

そう言うと、胸の突起に舌を這わせてきた。いきなりの感触に、再び電流が走り抜ける。

「いやっ…あっ…」

舌で弾いたり、指で摘んだり、口で吸ってみたりと、いろんな刺激を与えてくる。
その度に体を捩り、感じている自分が、情けなくて許せなくなる。
こいつは、ボスの命を狙っている奴。そんな奴に、こんな事されて、屈辱の何物でもない。
今すぐ払ってやりたいけど、体に力が入らない。

「おや、起ってきましたよ」

「あっ…あぁっ…いやっ…」

両方を摘まれて、甘い声が漏れてしまった。
小さい声でしか抵抗できない自分に、絶望した。
骸の指や舌で感じている。それが嫌で、涙が溢れてくる。
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