NO.6

□残響
2ページ/8ページ




テレビでは、明日は夜から雨、という天気予報。
今日の委員会は殊更に長かった。
次から次へと課題が山積しているのだ、無理もない。

「…ツキヨ、遅くなってごめん。ご飯にしよう」

小さなパンとチーズの欠片を手に、自室のドアを開ける。
いつもの場所に、果たして小さなネズミはいた。

「…ツキ、ヨ」

もう一度、名前を呼ぼうとして、喉の奥が凍りつく。
手の平から、パンとチーズの欠片が転がり落ちる、そんなことにさえ、気が付かなかった。
小さな命は、その役目を静かに終えていた。
震える指先で触れた体は、恐ろしいほどに固く冷たく、そして、軽かった。





残響





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ