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□カキ氷
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カキ氷
「景ちゃん、舌出してみ」
「…あぁ? なんでだよ」
「ええからほら、舌出して?」
…舌って。
何する気だコイツ。
忍足のマンション、リビングのソファの上にふたり並んで。
疑問符を幾つも頭上に浮かべた侭、跡部は少々戸惑いを覚えながらも舌先をぺろりと出す。
すると忍足は小さく笑って、
「…やっぱり」
ますます訳が判らない。
「だから、何がだよ」
少し声の調子を強くして、小さいサイズのスプーンを片手に持った侭顔を上げる。
「舌が真っ赤」
「…はぁ?!」
確認しようにも映すものが無い。
後ろの机の上に立てられた鏡の存在を思い出し振り返る。
ぺろり。
「…うげ、」
「する事がいちいち可愛いなー…景ちゃんは」
真っ赤、というより寧ろ毒々しいピンク。
「俺のも青ーくなってるやろ?」
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