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□はじめてのからおけ。
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「何だ此の狭っ苦しい部屋は」
「…は?」
「や、8人部屋に6人って充分じゃねーか?」


『今日みんなでカラオケ行かねぇ?』

向日のひょんな一言が発端だった。









はじめてのからおけ。









「何だ其れは」
「「「……は?」」」

ばっ、と向日は瞬時に踵を返し、ロッカーの扉に付けられた鏡でタイを結ぼうと奮闘する宍戸に問い正す。

「まさか…跡部って今時」
「あ? …あー……、多分な?」
「「……」」

しーん。


そんな効果音が今の状況には丁度良いかもしれない。
ただ当の本人だけは訳が判らない様子で、

「おいテメーら何コソコソしてやがる」
「えっ、いやあの」
「…オマエの所為だろ」
「あぁ?」

慌てふためいて答えたのは鳳、ボソリと呟いたのは背を向けた侭の向日で、跡部は眉間に皺を寄せ、声のトーンを落として聞き返す。宍戸は苦笑して肩を竦め、芥川はまだ夢の中だ。

「まぁまぁ、行ってみればええんとちゃう?」
「…忍足。オマエまでコイツらの肩を持つのか」
「…ユーシ。やっぱり跡部の味方するんだな」

宥めるつもりで言ってみたのだが、瞬時にじと目になったふたりから同時攻撃を受ける。
癇癪持ちのお姫様と不機嫌なチームメイトとの板挟みになり、忍足は「あはは…」と愛想笑いを浮かべてはみたものの胃がキリキリと悲鳴を上げたような心地さえした。




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