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□A great plot
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A great plot










九月。

運動部であれば既に部も引退し、文化祭等の準備もある放課後といえば大方の生徒は家へと帰るのみ。
そして、HRも終わり暫く時間も経っているとあって、文化部に所属する者は文化棟もしくはそれぞれの教室へと向かい、自らの教室に未だ残っている者は数少ない。
其の数少ない者のうち、三人。が、此の教室には居た。

其処には蛍光灯は点けられておらず、それでもまだ秋の入り。
明かりを点けずとも充分な程の明るさが其処には有った。

三人は、ひとりは自分のものであろう席に座り、持て余した腕を組みながらも其の表情は至って柔らかい。
もうひとりは、腕を組むひとりの真向かいの席から椅子を頂戴し、逆向きに座って背凭れを両腕の置き場にして、元気良く喋っていたかと思えば時折意識が夢の世界へと吸い込まれていく様。
そしてもうひとりは、其のふたりが向かい合って付く机に、其の右隣に有ったのであろう机を此れまた頂戴し、直角になる様な角度にくっつけて、ひたすら何かに奮闘していた。

そして、奮闘していた手が止まれば、組まれていた腕がゆるりと解かれ、問題を示しながらヒントをほのめかす。
其れに感嘆の声を上げる問題も有れば、首を傾げる事も然り。
そうすれば腕を組んでいたひとりはわざとらしく溜息を吐きながらも、もう少し簡単にと説明をしてやる。
其れでも更に首を傾げ続け、遂には呼気を荒げて幼い言い争いが始まる。
其れはさながらこんな風に。

「…判んね」
「……はぁ? オマエ馬鹿か?」
「なっ…! もっと判り易く教えてくれれば良い話じゃねーか?!」
「はっ! テメェのオツムが足りてねぇんじゃねーの?」
「んだとコラ!」

そして其れを止めるのは何時もこんな一言。

「げんきだねぇ〜…アトベも亮ちゃんもー…」





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