テニスの王子様のモノカキさんに30のお題

□気持ちいい事
2ページ/2ページ






「…また力入ってるんやけど」
言われ、跡部はすっと肩の力を抜くけれど、忍足の長い指が触れればまた直ぐに戻ってしまう。
自分でも気付いていないのだろうか、其れとも。
そうして忍足は、再び何かを思い付く。





「此れやったら抜けるんと違う?」
「っ何……ひぁッ!」
耳朶に触れた、舌。
正しくは舌先だが、其れだけでも跡部の性感帯である其処に与える刺激としては充分で。
「ぁ…、っに、しやがる…っ」
満足そうに笑って、少しだけ筋張った、指先が動く。
女の其れとは全く違う、指の作り。
「肩の力を抜くお手伝い。ほらほら、前向いとき」
「っざけんな…ッぁ!」
そして其れは己の其れともまた違って。


「綺麗な指で、綺麗な腕に爪なんか立てたらアカンやろ?」
綺麗だ、と。
時折忍足の口から聞く、その言葉。
「関係ねぇだろ…っ?!」
白くて、細くて。
とても綺麗だ、と。
己は此の指に劣等感すら感じていたというのに。
そして、





元から色が白いというのに、爪を立てる事で更に白く変わっている指を引き剥がそうと、細い手首に手を触れれば其れは簡単に外れて。
そっ、と己の掌で包み込む様に被せる。
「景吾」

―離したく、有れへん。

必然的に、近くなった耳元で。
まるで諭すかの様に、ゆっくりと。
彼の表情は此処からでは良く見えないが、ほんのり赤く染められた頬に笑みが零れた。
其処に唇を寄せて、軽く触れるだけのキスを贈る。



「好きやで」





何で、今更の様にそんな言葉を紡ぐのか。
言い返す、事なんて出来やしない。
「…なら…、もうちょっと手加減しやがれ…っ!」
其れでも足掻く様に言うと、忍足はさも意外だと言わんばかりに笑って。
「なぁんで?」
するり、髪から項を通り、肩へと指が這う。
「此れ、がええんやろ?」
「ッ、…ゃだっ、痛…っ」
「正直に言うてみぃ? …ほら」
「ぁ…! 其処…っや、」
「…此処?」
「ぅあ…ッ、違、」
「此処、やね?」
「…っ」
跡部は最早喋る事すら出来なくて、唯、首をコクンと小さく縦に振った。
「可愛えわ…景吾、」
忍足は其れを探り当てた事が嬉しいらしく、笑ってそう言った。
いや、後ろを振り返って見た訳では無いから、あくまでもそんな雰囲気を感じただけなのだが。
寧ろきっと笑っているに違い無い。
他の何にでも無く、跡部の反応全てに対して。

「気持ち、ええ?」
「……気持ち悪い」

「身体は正直やのに…なぁ?」
「っあ! いきなり押すなっ!」


だって、此れは。





「あー…、ご免。手ぇ疲れてきたわ…。ほんなら今日は此処までな〜」
「二度とっ、すんな!」
ぱっと手を離した忍足に肘鉄を食らわそうと跳ね起きるが、寝転ばされていた跡部と違い座っていただけあってひらりと躱されてしまった。
「なぁんで〜? いっつも可愛え景ちゃん見れて最高やのに…痛! 痛い!」
が、跡部は少々足癖の悪い其のすらりとした左足で、忍足の右脇腹を其の侭思い切り蹴り付けた。
「っざけんなっ此の馬鹿!! 何でテメェの手付きは毎回毎回あんななんだっ!」
「あんなって?」
聞き返せば、かぁっと白磁の肌が赤く染まる。
「…ああ、上手すぎた?」
「違ぇよ馬鹿ッ!」



「景ちゃんの肩がガッチガチやったから揉んだげてるだけやんか」
「何でマッサージ中にテメェに耳舐められなきゃなんねぇんだよ!」




そう。マッサージ。




「やって景ちゃんが力抜いてくれへんから」
「……何をどうやったらそういう発想が湧いて出てくるんだ…?」

叫び疲れたのか。
半ば脱力した跡部が問えば、

「うーん。余裕無い景ちゃんの可愛え声を聞いてたらかな? ぶっ!」

何処までも惚気続ける忍足の顔面に、跡部が下敷きにしていたクッションが飛んだ。





「…もう絶対ぇテメェなんかにマッサージさせてやんねぇからな!!!!」


毎回の様にそう叫んでおきながら、数日後には結局忍足の指先に翻弄される事になるのだが。


















―了





ひぇええぇえええ何ですか此れは何なんでしょうか此れは!!

微エロ甘々ギャグ?

…訳判りません。
そもそもエロでも何でも無い気が…。


久々のお題更新がこんなのでごめんなさい…。(ヒィ)
苦情、感想等ありましたらドウゾお願い致します。

此処までお読み頂き有難う御座いました!



tennis 2に戻る
※下の「戻る」をご使用になると迷子になってしまいます。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ