テニスの王子様のモノカキさんに30のお題

□眼鏡
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硝子の内側










『なぁ…何で眼鏡掛けてるんだ?』
伊達なのに?

と。
何の意図も無く不意に問われた言葉は、俺が黙るんに充分やったん。


『…さぁ、何でやろな?』













眼鏡が無くてはならないものとなったのは、何時からだっただろう。





レンズを通した世界は、ちょっとだけ現実味が無うて。
其処におりさえすれば、色んなまどろっこしいモンから、少しだけでも逃れられる様な気がしてたんや。



…せやけど。
やっぱり其れは間違いやったん。

所詮は、硝子越しにしか生きられへん臆病者やった。


…其れだけの事や。










「なぁ…、オマエ最近眼鏡掛けてないのな」
何でだ? と。


微笑って答えた。
「さぁ…、何でやろな」



君との距離を遮る硝子に嫉妬したから、なんて言ったら君はどんな顔をするかな。



「…俺は。今の方が、好きだ」
最後の方は少々俯いてしまったけれど、そんな所がとても彼らしくて、表情を綻ばせた。
「…おおきに」



硝子の外の世界に、再び連れ出してくれたのは貴方でした。





「侑士、」
「なん?」

「こっちも、捨てたモンじゃねぇだろ?」


瞠目した。

そうしてまた、笑んだ。


「…せやね」



きっかけをくれたのは、何もかもを、見透かした貴方の言葉でした。




















―了



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駄文ッ!!(叫)
其の上滅茶苦茶短いと…。
こんな微妙なモノを此処まで読んで下さり有難う御座いました。

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