テニスの王子様のモノカキさんに30のお題

□手を繋ぐ
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「…お帰り」
扉の開く気配を感じて、目線を動かさない侭口を開く。

「……真っ白だぞ、オマエ」
言われて、初めて自分の身体を見る。雪が降っていたのだから当然のことなのだが、少し見ないうちに変わってしまったコートの色にどうしても違和感を感じずにはいられない。
「景吾が待っとけて言うたから」
「だからって何も雪の中に立っとく事ねぇだろ…?」

雪を払っていた手を一瞬止め、柔らかく笑んでみせた。
「あぁ…、そうやね」

「…オマエの行動は訳が判らねぇんだよ……」
形の良い唇から溜め息が漏れた。


其の息も、真白。










「…ほな、帰りましょうか、お姫様?」

「……、バーカ」


少しの躊躇いを見せながらも、伸べた手に重ねられた、まるで白い羽であるかのように華奢な手の其の温もりを。



今は、まだ。










―了


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