テニスの王子様のモノカキさんに30のお題

□体温
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「…盛り魔」
頭を肩に預けて、呟く。
同じ男だというのに、どうして肩幅までこうも違うのだろう。
身長だって殆ど変わらないのに何故か、すっぽりとまではいかないが、其の肩の中に収まってしまう。
其れは少し悔しくもあったけれど、まぁ、こういうときは便利だと言えるかもしれなかった。
「堪忍て」
「フン。何時もそんな事位しか考えてねぇ癖に」
「あんなぁ…んな訳無いやろ?」

「…そうか。じゃあ此の侭俺が寝ても良いんだな?」
苦笑を漏らす忍足に、仕返しとばかりに不敵な笑みを浮かべて言い渡す。
「……え?!」
其の言葉の指し示す意味を咄嗟に理解したのか、驚愕の声が上がる。

「出来るよな? 盛り魔じゃねぇんなら」
「待っ、そんなん無、理」

「…あぁ?」
ギロリ、効果音が付くとしたらそんな感じだろうか。
「いえ何でも無いです!」
すぅと睨み付ければ奴は直ぐに折れた。
其の反応が何だか馬鹿みたいに可笑しくて、其の侭。

「…おやすみ。バァカ」

瞳を、閉じた。










「ほんまに…、警戒心有るんか無いんか判れへん…」
宣言通り、次第に規則正しい呼吸を繰り返すのみになってしまった跡部に呟く。

恐らく眠りに落ちたばかりの其の寝顔はまだ本当にあどけないもので、
「……寝とる子に、手ぇ出したりせぇへんよ…?」
小さく息を吐き、そう言ってもう一度腕の中の華奢な身体を抱き竦め、自らも眠りに落ちた者特有の温かな、其の細い肩に額を預けた。

そして少ししてから、取り敢えず今はな、と苦笑しながらも付け加えたのだった。



緩やかに流るる時を、午後のカーテンの隙間から零れる木漏れ日を眺めて。


















―了






urge(衝動)


シリアスながらも甘いのを書こうとして見事に撃沈。(ヒィイ)



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