テニスの王子様のモノカキさんに30のお題
□うたた寝
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猫が、居る。
気紛れな猫が。
白く美しき、蒼の瞳を湛えて、
君のめに世界は、どんな風に映っている?
気紛れな猫
「……景吾…?」
ふと、何か静かになったなとキッチンから振り返って見れば、リビングのソファーに身を委ねてうつらうつらとしている猫を見付けた。
そう、喩えて言うなら猫の様な。
美しい蒼の双眸を持つ、気紛れな猫。
2人掛けのソファーだから落ちたりすることは無いだろうが、其れでもやはり心配といえば心配で、近寄って声を掛ける。
「……景吾」
「…」
「こんなところで寝たら風邪引いてまうよ?」
何度か続いた呼び掛けに返された答えは、まぁ予想通りとでも言うべきか。
「ん……るせ…、寝か、せ……」
意識はまた直ぐに眠りへと落ちていった様で、中途半端に言葉が途切れる。
しゃあない子やね…、
と溜息を吐きながら立ち上がった。
―いや、…猫、やね。
先程の猫のイメージを思い出し、口の端に柔らかな笑みを浮かべながら、取り敢えず寝室から毛布を。
其れを可愛らしい愛しの猫へと掛けてあげる為に。
色素の薄い蜂蜜色の髪を、まるで小さな、
そう、猫にするかの様に軽く何度か撫でて。
「…おやすみ、景吾」
「…………ん……」
殆ど反応の無い猫の耳元に、
気紛れな猫に仕返しをするべく、そっと唇を寄せた。
―了