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□V.D.K
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朝は…眠い。





【V.D.K】





ふと目を開けると、目の前に例の眼鏡のない満面の笑みがあった。

「あ、景ちゃん起きた?」
「……ぅん?」

言って、ぎゅっと忍足が抱き付いてくる。
朝っぱらからテンションの高い奴だ…。
まだ良く回らない頭でそんな事を考える。

「景ちゃんっ、景ちゃんおはよv」



ちゅ。



「……あ?」

何だ今のは。
眠かった事もあり、俺は其の侭、無反応。

「怒らへんの? まだ寝起きなんや…そっか…」

首の所に頭を擦り付けるようにして、可愛え、と忍足が呟いた。
髪がくすぐったい。

「…ゃ、だ」
「うん、ごめんな?」

言いながら、同じような感覚が鎖骨にもう一度。

「景ちゃん今日何の日か覚えてる?」
「……んー?」

…知るかそんなもの。



「あのな、♪バレンタインディ・キー、ぁ痛!!」

起き抜けの掠れたテノールが紡ぎ出したとある流行歌は、見事に途切れた。
誰あろう瞬時にはっきりと目の覚めた俺の手によって。

御褒美と言う名の罰ゲーム。
あの忌まわしい(恥ずかしい?)記憶が蘇る。

「こンの、バカたりがぁぁあああ!!!!!!」
「ちょっ、顔真っ赤にして怒ったかて説得力あらへんって! ぅわ!」
「有難く喰らいやがれ!!」
「…!」

最後に左足で蹴りを繰り出す。
…右腹部、ヒット。

「馬鹿な事考える暇があったら今夜の夕食でも考えてろ」
「…ッあのなぁ俺にとっては景ちゃんが総てやの! 他の事なんてどうでもええの!」
「イ ベ ン ト に か こ つ け た 演 出 を 止 め ろ と言ってるんだ」
「ええやんか! 男の浪漫やんか…!」
「知るか。…返事は?」

トーンを落としてギロリと睨む。

「……ハイ」

ばったりとベッドに沈んだ忍足。

何だろう。何か物凄く恥ずかしい事を言われた気がする。
総てだ。
とか。
何とか。


…。


そうだこいつも寝惚けてたんだ。
そうだきっとそうだ。うん。

俺はそう思い込む事にして、沈んだ忍足を残した侭、登校の支度をする為にベッドから抜け出したのだった。





―終われ


うっわ、何でしょうかコレ。
色々と頭がおかしい侭書いたらこんな事に。
色々とすみません。
いつもごめん…忍足。許して。

まさか此の曲を2回も使い回す事になろうとは。
うーん…。お世話になりました。



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