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□甘い中毒
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居心地がいい。

そう、居心地がいい、のだ。

この感覚を、この感情を言葉で表すとするならば、それが一番近いだろう。

邪魔をしない。
邪魔をされない。

気がついたらそこにいた。
気がついたら手を取られていた。
気がついたら、振りほどくつもりもなくなっていた。

それは居心地がよかったからだ。
この体温と、触れ合うことは嫌いじゃない。

「景ちゃん、」
「アーン?」
「なんか、えぇニオイ」

伝わる温度、響く鼓動。
頬にすり寄る頬だとか、髪の感触がくすぐったい。

「…バーカ。オマエんちのシャンプーだろ」
「うん、そーやねんけど…」

首筋に吐息がかかること、耳のすぐ傍を掠める声。

時折、鳥肌が立つのは嫌悪じゃない。
もっとずっと甘い何かだ。

甘さは俺を狂わせて、何もかも判らなくするんだろう。

いっそ、それも悪くない。

ならば尚更。

もっと欲しくなる。
甘い甘い中毒のように。

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