テニスの王子様のモノカキさんに30のお題

□体温
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時折。

どう仕様も無く、此の体温に触れていたいと思うときが有る。










urge









「…なん?」
「……」

ある休日のこと。
ソファに掛けてぼんやりと雑誌を繰っていると、後ろからふわり、色白の腕が肩越しに伸びて来て、同時に首筋に柔らかな髪が広がると、其の細い指は己の胸の上辺りで緩く組まれた。
絡まり合う指先の美しさに目を奪われつつ、其の侭の姿勢で問う。
だが、光の加減に因っては金髪に見えなくもない其の色素の薄い茶色のカタマリからの返事は無く、忍足は小首を傾げながらももう一度問う。

「…景吾?」
「……んでもねぇ…」
漸く返って来た返答は何だか今にも消え入ってしまいそうで、
「嘘。…ほら」
組まれた手を掴み顔を其方に向ければ、ゆるりとふたつの蒼が半月の宝石の如く現れる。
其の光はあたかもアズライトを思わせるもの。
「おいで?」
もう一方の手で膝を指し言うと、僅かに頷きを見せたカタマリは、手を取られた侭に移動する。
「…此処。おいで?」
「……」
言われた通り、ソファの上で膝を跨ぐ様に腰を落とす跡部に、
「何や…珍しいなぁ、」
「…何が」
「いや、何となく」
「訳判んねぇ」
そう言いまたしても肩から首の後ろへと腕が伸ばされる。
「…なぁ、どないしたん?」
「何でもねぇつってんだろ? 黙って肩貸せ」
ふわりと掠める、甘い、吐息。





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