テニスの王子様のモノカキさんに30のお題

□昼休み
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あと、15分。

学校に居る時間の中で、4限がいちばん長い。


(遅い)

遅い遅い遅い。
時計の針が、刻む時間はいつだって変わり無く続いてる筈なのに。

待ち遠しくて、うずうずする。

板書の区切りまでを写し終える度に、左手の時計を見遣る。
知らず知らず、右手の人差し指がコツコツと一定のリズムを刻む。
秒針がひとつ動くまでに、2回から3回。
つられて其の動きを早めたり、なんてしてくれないのがもどかしい。判りきってはいるけど。


早く早く早く。
チャイムが鳴って、今日は此処まで、と声が掛かったら。
ノートと教科書を畳んで、ペンケースにシャーペンを戻して。
鞄を掴んで、直ぐにでも教室から駆け出そう。
廊下の端、屋上までの階段を一気に駆け上がろう。

そして息を整えて、何でも無い様に待つのだ。
そしてゆっくりと空を見上げて、何でも無い様に笑うのだ。

そして待とう。
今日も、さらさらの淡い茶の髪が、風に吹かれてなびいて。
日光に透けて、蜂蜜色に変わる其の瞬間を。
早ぇんだよ、と呟く言葉を。
緩やかな動作で、隣に腰を下ろしてくれる其の瞬間を。

そして笑って返そう。
少しでも早く、逢いたかったと。


狂おしい。抱き締めたい。傍に居たい。
早く、逢いたい。


…あと、13分。










lunch break










あと、10分。

学校に居る時間の中で、昼休みがいちばん短い。


(早い)

早い早い早い。
時計の針が、刻む時間はいつだって変わり無く続いてる筈なのに。

焦って、心臓が動悸する。

片付けてしまった昼食は、既に鞄の中。
風に煽られた髪を直すふりをして、左手の時計を見遣る。
知らず知らず、目が秒針を追って。
ひとつ、ふたつ、頭の中で、最もせわしない針がかちかちと動き出す。
少しでも良いから速度を緩めて、なんてしてくれないのがもどかしい。判りきってはいるけど。


遅く遅く遅く。
あと少しで始業5分前の予鈴が鳴って、俺の膝の上に無理矢理枕していたコイツは、起き上がったら。
いつも、緩やかに伸びをしたあとで、もうそんな時間、と呟くのだ。
立ち上がって、鞄を掴んで、帰るのは俺から。
金属製の扉、廊下までの階段への扉、日常へと連れ戻す役目の扉が、早く開けろとせがむ。

そしてゆっくりと空を見上げて、ひとつ大きく息を吐くのだ。
そして息を整えて、何でも無い様に踵を返すのだ。

そして待とう。
今日も、闇に溶けるような漆黒の髪が、風に吹かれてなびいて。
透んだ低い声音が、名字ではない此の名を紡ぐ、其の瞬間を。
次サボらへん、と誘惑する言葉を。
緩やかな、其れでいてしっかりと、此の手を掴む、其の瞬間を。

そして笑って返そう。
放課後、またな、と。


狂おしい。抱き締められたい。傍に居たい。
本当はまだ、逢っていたい。


あと、6分。

あと少し。あと少しだけ。











―了



パソコから発掘しました駄文です。
お題を見たときににどんなのを書きたいかメモしてる事があるのですが、今回はこんなんでした。単発なメモ…;↓

【詩っぽく。視点は途中から変え。昼休みまでの時間が長い。狂おしい。昼休みが短い。もどかしい。】


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