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□Let's speak English!
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Let's speak English!









(…何でこんな事に)



英語、オーラルコミュニケーション(OC)の授業中。
四月の最初の此の授業のときから、一体何度思ったであろう言葉を、今日もまた跡部は独り、心中で繰り返す。

氷帝学園では、其の教科にもよるが、習熟度別で授業を行う事が有る。
つまり、HRでのクラスは同じでも成績に違いがあれば必ずしも同じクラスにはなり得ないという事。
そして逆も然り。
成績次第では例え元のクラスは違えども、同じ授業を受ける事が可能となる。

そうして。
此処に、其の原理にしてやられた生徒がひとり。
同じく、上手く利用する事に成功した生徒もひとり。

「…何でテメェが此処に居んだよ…」
此処、とは当然トップレベル、Sクラスの事。
「またまたぁ。俺が景ちゃんとタメ張るって知ってるくせに」
「何時も手ェ抜いてやがんのは何処のどいつだ」
「せやから。景ちゃんと同じクラスになれるように頑張ったんやんか」
「有り得ねぇ…」
健気やろ? と笑う忍足に、付き合ってらんねぇなと肩を竦め、頭を振ってみせる。

と、始業を告げるチャイム、続けて英語教員が姿を現した。
其の後ろから付いて教室へと入って来た英国人教師を見、今日は会話か、と教室内の空気が和らぐ。
「起立ー」
立ち上がり、教卓へと向き直る忍足の背中は、何時も大きく見えて。
3センチ、いや既にもっと身長差がついた様に見えるコイツの、膝裏か何処かを思い切り蹴り飛ばしてやりたいと思うのは毎時間毎の軽い衝動。
「礼」
申し訳程度の礼をし、席に着くと、少しして流暢な英国英語が聴覚を擽り、流れてゆく。




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