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□Moment -ツカノマ。-
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朝。

目覚めた其のときに君が其処に居る。

唯、其れだけで、良いから。










Moment -ツカノマ。-










冬の朝の空気は、例え其れが部屋の中だとしても冷たい事には変わりがない。


「……寒」

剥き出しの肩が其の空気に触れ、目が覚める。


時計を見ても、まだ起きるには早い時間で。

「暖房位入れとけ、馬鹿」

シーツの中に潜り込んで、呟く相手、此の部屋の主人でもある彼は、どうやらまだ夢の中。
寝息を立てる其の顔に、何時もの見慣れた眼鏡は無い。


以前、視力が悪い訳でもないのに何故そんな物を掛けるのかと聞いたら、笑って誤魔化された。
そして確か、逆に聞き返された。

眼鏡が無い方とどっちがえぇ?と。



唇に乗せるのは、あの時と同じ答え。

「悪くねぇ」
…両方ともな。


あの時と、同じ。

…いや、寧ろ……。

開きかけた唇は閉じられ、其れは次第に綺麗な弧を描く。
ある意味不敵な笑みを浮かべて、紡ぎ出す言の葉は。


「…続きはまた、な」



何時になるやもしれない、独り言。



そう、少なくとも、貴方が目覚める其の時までは。



温もりを、共有しようか?




「…バーカ」


ふわりと、笑う。



そしてまた、ゆっくりと。


蒼き双眸をそっと隠して、

束の間の、休息を。




















―了
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