通常、馬は以下のサイクルで、「仕上がる」という状態になります。
【馬体の仕上がりのサイクル】
1段階目:萎む
↓
2段階:やや膨らむ
↓
3段階:膨らむ
↓
4段階:やや締まる
↓
5段階:締まる
↓
6段階:仕上がる
【解説】
1段階目の「萎む」というのは必要な筋肉が落ちた状態を指します。ガレている状態。
2段階目の「やや膨らむ」というのは、餌を食わせ込んで、萎んだ体を膨らませかけた状態を指します。
3段階目の「膨らむ」は読んで字の如し。速い時計の追い切りがかけられるだけの基礎体力が備わった状態を指します。
4段階目の「やや締まる」から無駄肉を削ぎ落としかけた状態。フォトパドックは2週間前の写真を掲載する事が多いので、この状態も本番の2週間で走れる状態である次の段階まで仕上がる可能性を残しています。
5段階の「締まる」の状態で、やっと競争馬として、持てる能力を発揮できるレベルとなります。
6段階目の「仕上がる」というのは、臨戦態勢が整った状態ですが、ここまで行くと逆にこの後は反動が出ます。
基本的にサラブレッドはこのサイクルの繰り返しによって競馬をしているといえるでしょう。
よってこのフォトパドック診断では、5段階ないし、6段階の馬をセレクトするコーナーとします。
しかし、ここまではあくまで「仕上がり」という側面のみを診断したものに過ぎません。
馬券に繋げようとするのであれば、これにプラスして能力の診断も大切になってきます。
能力は簡単にパーツ毎に分けた診断を下します。
以下がその点数基準です
【能力基準値】
◆胸前の深さ:+1点加点
◆トモの容量:+1点加点
◆筋肉量:+0.5点加点
◆トモの張り:+0.5点加点
◆皮膚の薄さ:+0.5点加点
◆柔軟性:+0.5点加点
【解説】
胸の深さは、殆どのオープン馬に当てはまる項目です。逆にいうと胸の浅いオープン馬はいないとさえ言えます。ここは心肺機能に関わる、アスリートとして一番重要な項目なので1点加点します。
トモの容積の大きさはイコールエンジンの大きさに比例します。すなわちスピード能力に置き換えられる重要な項目です。従って、容積の大きい馬は1点加点。
筋肉量は別の言い方をすれば、馬体の幅(厚み)といえます。これはパワーに関する項目で、特に、ダート競馬や、坂ありコース、持久戦になった場合に大きく結果を左右します。条件付きということで、0.5点を加点。
トモの張りは、仕上がりが進んでいなくても、例えば坂路を中心にトレーニングしているような厩舎では、この部分の張りを保てていることがあります。純粋な上り勝負や、単純な短距離のスピード決着の競馬なら、ここさえ必要最低限な筋肉が付いていれば結果を出せるものです。従って0.5点を加点。
皮膚の薄さといのは、不思議と一流オープン馬に多いことで有名。皮膚が薄いとバネのある馬が多いようです。どちらかというと資質を判断できる箇所といえます。従って0.5点を加点。
柔軟性は、筋肉の柔らかさを指します。ただ、ここでいう柔軟性とは、ただ柔らかいだけではなく、バネも同時に持っている事を指します。当然、柔らかくてバネがあれば瞬発力に優れた馬であることは容易に想像がつきます。0.5点を加点。
以上の仕上がり・能力の二面から、各馬を診断し、点数評価していきたいと思います。
最高点数は10点満点での評価です。
ちなみに07年度のヴィクトリアマイルのフォトパドック診断をするとコイウタが9.5点で最高得点となります。
減点分は柔軟性の−0.5点分だけで、あとは満点評価です。少し、肩が立ち気味で筋肉の質が反発力があり過ぎる為、「柔軟性」の部分で減点しました。
ただ仕上がりも含めて、バランスは最高なので、仕上がった馬の見本として画像を掲載しておきます。