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□SS 『しーくれっと・むーど』 ※一部R描写あり
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「…駄目、です」
はぁ、と吐息が漏れる。
声にならない、声。
「約束でしたでしょう。ッ痕は付けないでって、あれほど―――…!!」
「そんなに誘うような声で言われても、説得力なんてないのだがな」
「…あ」
そう言って、相手は更に調子付いた。
背後からキラの細腰を抱きしめ、手を取り。
ちゅ、と音を立ててキラの首筋に紅い痕を残していく。
「…ちょっ…!」
チッ、と軽くキラは舌打ちをする。
そんな目立つ所に付けられては、後の任務に支障が出る。
かといって、ここで逃げ出せば自らの立場を悪い方向へと追いやってしまうであろう。
…この手のタイプは、哀願しても逆効果だ。
仕方が無い。
息を吐き、これからのスケジュールを頭の中で瞬時に組み立て直した。
「…責任は取って頂きますから」
「君のお望みとあらば、ね」
また暫く部屋の中で作業しなければいけなくなるだろう。
証拠も必要だし、ここまでやってくれた目の前の相手にも、見返りは貰わなくては。
瞳を、閉じる。
深く模索しそうになる自身の思想を沈め、キラは行為に集中する事にした――…。