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□想い事 8
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  - ひめゆりの風 -



1994年から13年に渡って
撮り続けられた
ドキュメンタリー映画
“ひめゆり”が
縁あって私の手元に届いた。
ひめゆり学徒隊の生存者が
戦争体験を証言するという
途方もなく残酷な“現実”を
つなぎ合わせた作品だ。


去る8月15日、
私は沖縄でコンサートを行った。
それはそれは想像以上に
重く眩しいものだった。
コンサートの前に
ひめゆりの塔を訪れていた私は
ステージの上から
ひめゆりについて少し話をした。
その時に吹いた風を
私はよく覚えている。
絹の花柄のワンピースに
たくさんの風が集まって
巡るようにくり返し廻り
舞い上がるように帰っていった。
あれはひめゆりの風だったと
私は想う。
拙い言葉で、伝えきれない想いを
伝えようとする阿呆な私に
そっと力をくれた
あれはひめゆりの風だったと
私は想う。


映画の最後は
“別れの曲”で締めくくられる。
ひめゆり学徒隊が
戦場に駆り出されたのが
卒業式の2日前。
音楽教師たちによって贈られた
歌われることのなかった歌。
そういえば
ひめゆりの塔へ行った時
平和記念館で流れていたのも
この曲だったっけ。
私は一緒に口ずさむことも
できなかったんだ。
こんな私にまだ歌える訳がない。
私は何も知らなすぎる。
この歌を一番歌いたかった人が
まだ歌えてないっていうのに
私なんかに歌える訳がない。

           
           
           
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