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□誕生日に
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ライブが終わって…、康太と藍児は2人で食事をしていた。
「なんでさぁー、こんな日に俺と2人きりで飯食ってんのー??」
飲めない酒を、彼にしてはけっこうな量を飲んだ康太はイイカンジに酔っていた。
「康太、もうそれ7回目だよ?」
「いーのっ!!理由を言えよー。」
苦笑をしながらも、藍児は康太の耳元で囁いた。

「康太が好きだから。だから俺の誕生日を二人きりですごしたいの。」

途端に康太は[にへー]っと笑い、藍児はそんな康太を可愛いなぁと思う。
…すべて7回目である。

「…あ。そ、そんなこと耳元で言うなよ馬鹿ー!馬鹿藍児ー!」
「ごめんごめん。」

いつもなら「康太が言えって言ったんじゃん!」と反発する藍児も謝ってしまうようなこの雰囲気。


「康太ー。康太は俺のことどう思ってるの?」
「えー…」
さっきの笑顔とは打って変わって、眉に力が入ったイヤーな顔になった。と思ったら急にカクンっと頭を落とし、上目づかいで藍児を見つめた。
「藍児のことー?」
「うん。俺のこと…。嫌い?」
一生懸命首を横に振る。
「嫌いじゃないっ。けどー。ライブで兄貴と絡んでたりー、潤君と仲良さそうだったりー、二人で音楽作るために武雄君の家に泊まったりー…するとこはヤダ。」

藍児は康太をぎゅっと抱きしめて、康太に自分の位置を探した。
「嫌かー。」
そう言いながらも、可愛いヤキモチをやいてくれる康太に、つい微笑んでしまう。
「…笑ってるだろ。」
「よくわかるね」
堪えきれずに声を出して笑ってしまった。


「…藍児、大好きだよ」
さっきの藍児を真似してなのか、康太は耳元でそっと囁いた。
「……康太?」
「誕生日おめでとう…。大好き。藍児大好き。誕生日を…一緒に過ごせて、嬉し…かった…。」
最後にそう言って、眠りについてしまった。

藍児は、眠りに落ちて一気に増した康太の重みを支えられることを幸せに感じながら、ふわふわした康太の頭をそっとなでた。
「酔ってると可愛いぐらい素直な言葉を言ってくれるから…。だから2人きりになるとつい飲ませちゃうんだよねー…。」


さて。もう少ししてまた康太が目覚めたら、八回目の会話を楽しもうか…。



END
アトガキあり
Happy Birthday!アイジ☆
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